GW~今週で見られたので。
根津美術館の燕子花図行ってきました☆
青というと静的なイメージが強いですが、生命力あふれた力強く、金にも負けない青がすごかったです。そこにあるのは、可憐な花でも清廉な水でもなく、屏風の裏に根っこがどっすりハマってそうなカキツバタの生命感ばかり。
屏風なので、折って展示してあるんですが、その状態で見ると、背景の金の豊かな反射による影も相まって、すごく「立体的」に見えます。
これって、ある意味、18世紀版「アバター」なのかもと思うと楽しかったです。
実際に光琳の生き方を見ると、遺産を放蕩で食いつぶして40代で仕方なく絵を描くようになったというわけで、まったくもって、絵をビジネス的に使っている人だったりします。芸術家というより、エンターティナーの側面の方が強かったんじゃないかな、と思いました。
映画は「パレード」と「ハート・ロッカー」。
「パレード」
行定監督は、「GO」以降は、劇場に足を運んではがっかりさせられることがここ数年多かったんですが、久々に実力が発揮されていた映画だったと思います。
やはりこの人は、低予算で若者を描くのが上手い。
アパートとヘリコプターという組み合わせに「家族ゲーム」を彷彿とさせつつ(吉田修一の原作小説にある描写っぽいけど)確かに構成は、アパートの住人4人と、新たなる外部から入って来た存在1人というので、それもまた4人家族+松田優作が演じていた家庭教師、という登場人物からなっている「家族ゲーム」と似ているなと思いました。性別は違いますが。
特筆すべきは、男娼のサトルを演じた林遣都。ひょろ長い身体からなる美しさもさることながら、幼いのに場末の老女っぽさも醸し出していて、素晴らしかったです。「バッテリー」のときは素材の良さばかりしか感じられませんでしたが化けましたね。この先が楽しみです。
あと女優陣二名が予想よりずっと良かったです。
驚かせどころはラスト手前とラストの二か所。手前の方は中盤で予想出来ましたがラストはやばかったです。怖かったです。悪意をも凌駕する白い恐ろしさ。
この構成にするために、序盤の大学生の章が薄っぺらく見えてしまうのは仕方なかったのかもしれないと思わせられます。
「ハート・ロッカー」
戦争映画のお約束を、まるで見えない爆弾の解体作業かのように排除していく監督の仕事人ぶりに脱帽です。そのことがえもいわない緊張感を醸し出します。
人間性の無い場所ではかすかな人間性が焙りだされ、日常の世界では人間性が失われていることが好かされる、人というものは相対的なんだなということがよくわかる作品。
主人公の異常性はラスト近くのシーンで突き付けられますが、本当に異常なのは彼よりもたくさんの食べ物が並び、人員が入れ替わり立ち替わりしても機能を維持し続けられるアメリカと言う社会そのものかも。というか、ちょっと昔だったら、『対立していた仲間と、やがて友情を結び(ry』となるところを、新しい隊でもやることは変わらない、メンバーが変わっても何も変わらない現実を突き付けられました。
主人公以外のキャラがちょっと弱い気もしますが、それもまた個人が浮き上がりにくい戦場という場所への表現なんだろうと判断しました。
ワイヤーをたどっていくと……のシーンは、普通の演出なら、本来は震えるところなんでしょうけれど、もはや笑いしか浮かばなかったり、演出次第で観客の感情はいくらでも変えられるんだなと思ったり。
表現がかなり繊細なものが多くて、映画慣れしていないと気づかなかったり後からそう言えばと気づくことばかりでしたが、そこにまた監督の技巧が見えてとれ、緊張感を出すテクニックを勉強させていただいた感じです。
ここ15年くらいのアカデミー作品賞受賞作品は全部見てるんですが、好きな順に改めて並べてみた。
ビューティフルマインド、アメリカン・ビューティー、スラムドッグ$ミリオネア、ノーカントリー、クラッシュ、シカゴ、フォレスト・ガンプ
このうち、劇場で見ているのはスラムドッグとノーカントリーとガンプだけだから、意外とDVDでも気に入るときは気にいるもんなんだなと自分でもびっくりです。
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