この惑星の住民は、川を見れば橋をかける。山を見ればトンネルを掘る。
一体、どこへ向かおうとしているのだろうか。
私は、宇宙人トニー(仮名:アルフレッド・ジョーンズ)。この惑星を調査するために、近づいてきたその一員の身体をしばらく拝借させてもらっている。
バックグラウンドになぜか壮大な曲が流れているような気がしつつ、身体を乗っ取った男の数少ない友人のいる島へ行った。
大事なプロジェクトに是非参加してください。
そう言った小作りな身体の青年には、どこかリーダーとしての気質があるように見えた。
集められた男たち。意見の対立。そして、彼らの払った犠牲。
これは、不可能と呼ばれたプロジェクトに挑んだ男たちの戦いの記録である。
「最後の発破です。ジョーンズさん、お願いします」
HONDAと書かれた作業着のリーダーは、まっすぐにジョーンズ(仮名)を見た。ヘルメット姿の男たちがどよめいた。
落盤事故からこの星の住人であるプロジェクトのメンバーたちを守ったことにより信頼を勝ち得ていたが、高度な私の文明をひけらかすわけにもいかず、あくまで作業員の一人に扮していた。
しかし、彼らは私の肩を叩いた。そこには、熱い男たちの無言の対話があった。
「発破!」
私はボタンを押した。振動と爆音が響き、砂埃の向こうに光が見えた。
ついに、不可能と呼ばれたトンネルが開通した瞬間だった……。
万歳を仲間と共に連呼しながら私は思った。
だが、この惑星の達成感は、癖になる。
(達成感に満足して、この後ちゃんと身体は返してもらえました)
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