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Pannotia

ヘタリア好きが懲りずに作ったブログ。元Pangea。今回も超大陸から名前をいただきました。 CPは独普・米英米・独伊独・西ロマ・典芬・海拉・英日などなど。NLは何でも。にょたも大好き。史実ネタ時事ネタねつ造たくさん。一部R18あります。 その他作品として、デュラララ!!(NL中心)とサマウォあり。

   

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トロイメライ (独にょ普憫+墺)


 普の先天女体化。
 加えてややグロ。ある意味、ヤンデレ?






 
 
 
 昔、南で戦った国に伝説に出てくる戦乙女のようだと言われたことがある。
 言っとくが、俺が特別なわけじゃない。ハンガリーだって似たようなものだ。
 ただ、あいつと俺との違いは俺はその伝説の女たちのようにおっぱいがかたっぽ削り取られてなくなってたという話。
 
 もう数センチ深かったら心臓が止まってるとこだった。
 肉片が鎖帷子に絡められて剣先に引っ掛かっていたのは今でも覚えている。
 
 だけど、その瞬間、死を覚悟したのは俺ではなく剣の持ち主だった。脂がついて使えなくなった剣の持つ意味を知っているぐらいの力量があったから、鎧越しに攻撃ができたのだろう。
 
 まだ、幼い顔立ちの残る国の胸に自分の剣が刺さっていく。
 その小さな口が呟くのは、多分1番会いたい人の名前。
 
 しばらくして、俺は国であることを止めたから、その傷は治ることがなかった。もちろん、今でもおっぱいが一個のままだ。
 
 
 
 マニアックな趣味を持つヴェストは、その一個残っているおっぱいより、抉られた左胸に顔を寄せるのをよくやってる。
 まあ、残っている方だって大きさも形も普通な自慢できるほどの品ではないのだけれど、つくづく変わった奴だ。乳首が欠けている分、快感も右胸より伝わりにくいから、俺としてもじれったい。
 
 ある夜、髪の毛を掴んで聞いてみた。
「お前ホモ? それとも貧乳派なのか」
 結構引っ張られていたいはずなのに、あいつは顔色を変えずに返した。
 
「ここが一番心音の変化がわかりやすいんだ。お前は嘘ばかりつくが、ここは騙せない」
 
 傷跡を太い指でなぞられた。普通の皮膚よりは敏感で吐息が漏れる。
 
 悪徳の洞窟に指を伸ばしてくる。髪が乱れ始めた俺の勇者は躊躇わなかった。このまま世界の何もかも捨ててしまいそうだ。
 オペラは大概悲劇で終わる。何度も俺はこの布の舞台の上でアリアを高く歌わされて死んでいく。全盛期の短いソプラノ歌手のように。
 生きていることを教えるのはこの男が聴く心音だけ。
 あのオペラでは、主人公は女神と溺れていたが、異種と交わることと身内と交わることとどっちが罪深いのだろうか。
 
 いつか診察してくれたオーストリアが、人間の女の身体に近づいてっていると言った。
 それは死と言う意味でか、生という意味でかはわからない。
 両方なら、古傷が腐っていくのと命が宿るのとどちらが早いかという話なだけ。
 それとも俺は許されない罪を腹に抱えて死んでいくのだろうか。
 
 それならそれで、ヴェストが解放されるので良いと思う。
 
 
 
「あいつは覚えてないだろうけど、昔から悪夢見た後は俺の左胸を枕にしないと眠れなかったんだ」
 
 オーストリアは何も言わない。ただ、俺の話をコーヒー片手に黙って聴くだけだ。
 時々、本にメモを取ったりする程度で、ボリュームは極めて小さく音楽を流す。今日はBが付く作家の中で時々忘れられがちな奴のクラリネット三重奏と五重奏だった。
「今も同じで、時々、子どもみたいに笑う寝顔を見ると、ああ生きてて良かったなて思う。ちょっと重いけどな」
 長椅子の背もたれにだらんとしながら俺は思うままに話をする。昔のことも今のことも。どんな夢を見たかってことまでも話す。
 どんな姿勢でいても、お行儀が悪いとこの時間は坊ちゃんも咎めることはない。多分、俺がここで全裸になって自分を慰め始めてもこの男は淡々と会話と行動の分析を続けることだろう。
 
「なぁオーストリア。俺たちはたくさん地獄を見てきたけれど。あんなにきれいな地獄を見たのは初めてだぜ。世の中広い」
 土産にもらった名前がおぼれられないトルテをかじった。美味けりゃ何でもいい。泣きたくなるほど美味けりゃなお更だ。
「きれいすぎて神様は許してくれない」
 
 俺が涙を出し始めても、オーストリアはハンカチさえも差し出さなかった。レコードを換えに行って、今度はチェンバロの曲集に変わった。
 室内楽のレコードをしまう音をさせながら、淡々と言った。
「だけど、あなたは嬉しそうです」
 
 くそバレたか。ウソ泣きがきかないなんて何て奴だ。
 
 たくさんの文章が降る夢を見たことがある。
 賛美歌のような言葉ばかりが俺に降り積もっていってやがて俺は埋まってしまう。きらきらした言葉が口の中に入ったら意外なほど辛くて、目に入っても辛かった。夢のくせに。
 だけど、きっとお前はここではない故郷の夢を見て、死んだ俺を残して行ってしまうんだろう。もう誘惑の声も振り捨てて。
 責める言葉で沁みる俺の目はやがて視力を失い、あの背中を追うことはできないだろう。
 ただでさえ薄い左胸にも積もり積もって重みで息も出来なくなっていくだろう。心臓を動かす力もなくなるだろう。
 
 そう思ったら、何だか笑ってしまった。俺は嬉しいのかな。わからない。
 だけど、これだけは言えると思う。
 
「そうだな。あいつが見ることがなければ、もうここが痛むこともないだろうから」
「救われませんね。あなたもドイツも」
 
 胸にあてた俺の手を、オーストリアはやさしく外してくれた。それが終わりの合図。
 ダイヤの針が退けられ、音楽が止む。ランプの光が強まった。
 
 浮かび上がるオーストリアの流麗な字が躍るカルテには、患者は依然、自分が救い、育てた子どもを既に殺していると思い込んでいる、と書かれていた。
 現在の環境を受け入れるための自己否定とか何とか、専門用語が並んだ文章の羅列は、飽きてもう読まない本よりも意味が伝わらない。
 
 俺以外にもこの男に精神分析させる物好きがいるもんだとぼんやり思いながら、ブーツに足を納めた。
 
 さあ、ヴェストが呼んでいる。走って帰らなくては。転んでも倒れても帰らなくては。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
fin
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