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Pannotia

ヘタリア好きが懲りずに作ったブログ。元Pangea。今回も超大陸から名前をいただきました。 CPは独普・米英米・独伊独・西ロマ・典芬・海拉・英日などなど。NLは何でも。にょたも大好き。史実ネタ時事ネタねつ造たくさん。一部R18あります。 その他作品として、デュラララ!!(NL中心)とサマウォあり。

   

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11分の9番目 (独普)

 某テレビ番組にて、「世界の中でドイツは2番目にキスの回数が多く、平均1日11回」という内容が放送されまして、それにフィーバーした芋領にて、11人によるキスペーパーたるものが、SPARK6(2011/10/23)にて企画されたのです。企画主のテレサ様に大層お世話になりました。本当にありがとうございました!
 それに参加させていただいた際のお話。No.9、「風呂上りのキス」を担当させていただきました。その際、委託先様連動できたら…!とNo.8→No.9と連続したテーマをいただきましたが、時系列が微妙に違ってました。共通点は南極番組のみです実質。



 画面の中にいる腹ばいのペンギンと同じ姿勢でプロイセンはソファで横になっていた。
 テーブルには、アイスの容器がイチゴ色の水玉模様をつけたままおかれている。スプーンはくわえたままだ。
 視線だけは流氷へ。薄目でも入ってくる涼やかな景色は、まだアイスを食べているような錯覚をさせてくれる、ような気がする。
「兄さん、風呂上がったぞ」
「俺様このまま寝る……」
 そして、犬ぞりの夢を見る。小鳥のそりでもいいかもしれないけど。その方が格好いい。少し前も同じように南極の番組を二人で見て、お互いに不器用でそのもどかしい時間を過ごしていたものだが、今のこのたゆたうような気安さも悪くないものだ。安心して寝ることも出来る。
 ドイツに比べるとプロイセンの入浴回数は若干減る。身の回りのことに対しては清潔概念はかなり高いのだが、自分のことは後回しになってしまう。これは何も、不精だからというわけでなく、ヨーロッパの古豪の面々は、水に乏しい時代を経験しているため、入浴の頻度が少ない。香水文化が発達したのもそのためだ。フランスやスペインよりはマシだと言いたい所ではあるのだが、ドイツや日本にそれを言うと顔を背けられてしまった。一人楽しすぎるぜ。せめてもの慰めは、イタリアが「俺も食べたあとはしあわせでそのまま寝ちゃうんだよねー」と同意してくれたことだ。流石だぜ、イタリアちゃん。天国では彼の祖父であるローマ帝国が、大理石と黄金でできた大浴場(テルマエ)で、ぴかぴかに身体を磨いたほうがもっともっときゃわいくなるのに!と嘆いていることを、プロイセンは知らない。
 朝のランニング後にシャワー、帰宅後に一回シャワー、寝る前にはバスタブに入るというドイツの習慣を、お前肌そんなに強くねぇのに荒れるだろ、とからかった。プロイセンにとっては、今も昔も、ドイツの肌は、ベビーオイルがたっぷり必要な幼児のそれを同じなのだ。彼と違って自分はそんなことを気にしなくていい。
 それより、今はもう肌と一体化しつつあるこのソファが重要だ。ああ、肘置きよ、その身へ豊満に詰められたウレタンよ! 俺様に芳しき甘き眠りを与えたまえ!
「兄さん」
 聞いてない聞いてない。俺様は、さっき見えない糸車の針に刺されたばかりだから、あと百時間ばかし眠るつもりだ。
「兄さん……」
 湿った匂いと、ぬれた髪の感触が首筋に触れた。肩甲骨の始まるくらいの背中に手を押し当てられる。風呂上りなだけにドイツの手は温かかった。この匂いはレモンバーム。バスオイルに使ったんだろう。庭にも生えていて、葉っぱをちぎってアイスクリームに添えると俺好み。しかし、イチゴにはあまり合わないかもしれない。やっぱりバニラだ。
 ドイツはプロイセンの身体を揉むのが好きだ。それは性愛目的のときも、そうでないときも含まれてる。今の触り方は後者だ。指の離し方の余韻が少ない。
「冷えてるじゃないか。寝るなら毛布ぐらいかけろ」
 プロイセンは薄目のまま、ん、と言うだけに留めた。
 そのままシャツ越しにドイツは今度は両手で、背中を揉みながら、位置を落としていった。わき腹へ、腰へ、太ももへ。力加減は良い調子。
 きっとヴァルハラはこういうところに違いない。行ったことはないけれど。
 足首に手をかけられて、かかとを絞るように押されたり、土ふまずに圧をかけられて、ゆるやかに痛いのと快感が混じる。足指の付け根の奥まったところに至っては、念入りに洗うことだってそんなにしていないから、恥ずかしささえ出て来た。いや、この弟は、ここを舐めたりすることもあるから、自分がそんなことを思わなくてもいいはずだけれど。
 最後だけ、ドイツの手は、足の形を名残惜しくなぞるように離れていった。
 チャンネルは、『FBI潜入特集』に移っていたけれど、子どもだまし過ぎて、視界が変わってもまったく気にならなかった。
 そのまま、揉まれている間に漏れてしまった唾液を含みながら唇を合わせられる。湿っているのはお互い様。レモンバームの匂いが強くなる。ソファに自分の身体が固定されていて、ドイツの手が背中にまわらない分、唇だけで接している事実が嫌でも意識してしまう。さっきより、ん、の声がはっきり出てしまった。
 マッサージと同じように名残惜しくプロイセンの顎を舌をなぞるように離れていった。
 カミソリを当てたばかりであろう滑らかな頬を合わせら――まずい。このままだと、舐められるのはアイスじゃなくて俺様だ。
「わーったわーった! 起きるから! 風呂入るから!」
「そろそろ、湯も溜まるぞ。無駄に流したりしないでくれるな」
「ふーんだ! ヴェストのエコロジスト! 俺様アヒルとぷっぷくぷーしてやるからな!」
「洗面台の鏡の前だ。どうぞご自由に」
 勢いをつけて蹴り上げるように起き上がったが、ドイツは避けた。
 シャツを脱ぎながら、手に持ってバスルームに飛び込む。
 湯気の匂いに、まだバスオイルとさっきの感触が思い出されて、誤魔化そうと、メープル風味の入浴剤をがっつりバスタブに放り込んだ。
 上がったら、髪をドライヤーで乾かせてやる。歯磨きはバスタブに浸かってる間は待ってやろう。


FIN
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