さて、80年代半ばの日航機墜落事故は、2000年代近くなってからボイスレコーダー等のブラックボックスが公開されて、クライマーズ・ハイなどモチーフにした作品がここ数年出されています。
これもその一つ。山崎豊子さんは本当に息の長い作家ですね。80歳過ぎても連載抱えていますから。「運命の人」外交ネタ好きとしては、読みたいんですけど、なかなか時間が……。
この人の描く男性像は、非イケメンな男前ばかりで大好きです。
実写化するとイケメンになってしまいますが、それも良いです。
日航が経営再建中のなか、何というタイムリーな公開だと苦笑しつつ、実は前回日記で書いた六本木デートの後に、ヒルズのTOHOシネマズへ。
ヒルズ族だろうと、庶民だろうと、映画は千円で見られるのです。(サービスデーだった)
8時半から見て、終わったの12時過ぎてましたからね。
それでも、サービスデーだったのでほぼ満杯でした。
前半は、事故と、主人公・恩地の回想である組合活動から、アフリカのシーンが流れるように交差する作りになっていて、上手くつなげています。
長編を上手くまとめてますねー。
「本物」が多すぎるので、象さんのCGがちょっと浮いていたのが少々残念ですが、タイトルまでの勢いは悲劇を知っているのに手に汗を握ります。(飛行機もCGらしいですが、やっぱり人工物と野性だと表現の難しさが段違いなんですね)
昭和の男を演じるのに、これ以上の適役はない渡辺氏の熱い演技にぐいぐい引っ張られて、エピソードは知ってはいても、ぐいぐい胸が締め付けられます。
そして、脇も素晴らしいんです。
「かわいそうなカガワ」というキーワードが私たち家族の間でしばらく流行ったくらい、不憫なシーンがいくつあったか数えられないほど不憫な香川照之さん演じる部下に、
山崎作品では「不毛地帯」の主人公と同じモデルである龍崎を演じた品川徹氏は、「白い巨塔」で大河内教授をお見かけして以来のファンでして、怪物っぷりが相変わらずでした。おぞましいものを食べているようにしか見えない静けさがあります。
そして、木村多江さんと清水美沙さんと鶴田真由さんは、かなりの確率で悲劇の女性役になる不思議。しかし、上手いです。
思わず終わった後、ガイドブックや事故の資料を探してしまうくらいに熱くなりました。
そろそろ、寒くなってきた毎日になりましたが、冷え切ったこの国にも、かつて熱かった時代があったものです。その陽がまた昇ることを信じるながら歩く、真夜中の六本木は、なかなか悪くないものでした。
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